工学院大学附属中学校では2月27日、『工学院大学附属中学校ICT宣言』を正式に採択いたしました。
この宣言は、ハイブリッド1期生である中学1年生が、iPad等のICTを活用した授業を行う学校の生徒として、ICTを正しく活用するためにはどうすべきかを定めたものです。1年間かけて生徒自らの手によって作成し、本日正式に宣言が採択されました。
今後、学内のみならず国内そして世界にこの宣言を発信し、教育における正しいICTの活用を呼びかけていこうと思います。
本校が本日宣言するまでに至った経緯を以下にご紹介いたします。
『工学院中学校ICT宣言』樹立、プロローグ
工学院大学附属中学校には「iPad」という「お化け」がでる。
ICT世界からやってきた「お化け」。現代、ICT世界は無限に私たちの世界にコラボしている。KEITAIやSUMAPHOもこの世界出身のメジャーなプレーヤーだ。
この「お化け」たちは時々、時間を忘れさせるほど私たちを夢中にさせる。
彼等は、変幻自在に、その姿を変え、目の前に誰かがいるかのように私たちと誰かをつなげ、まるで、世界の全てを知っているようなふりをする。
私たちの、目になったり、耳になったり、声になったり、意志になったり…、
「イリュージョン!」「ファンタジー!」の世界に私たちをしばし誘(いざな)う。うかうかしていると、「お化け」は、そのまま、ICT世界に私たちを取り込もうとする。
頼もしい仲間だ、とその気にさせられた時、機械のように冷たく、彼等はこう言う―。
「私はあなたの分身でもなければ、万能でもありません」
「デジタルの世界しか、私には表現できないのです」
「ヒトの体温を感じません。嗅覚(きゅうかく)も、触覚(しょっかく)も、遠く人間には及びません」
「ましてや、あなたがつながっている相手の気持ちなんて知る由(よし)もないのです」
「あなたの現実に起こる良いことも、悪いことも、私には一切、関係ありません」
「私を介(かい)して行ったすべてのことは、あなた自身が原因なのです」
「あなたの可能性を広げる手伝いはしますが、すべての責任はあなたにあるのです」
そして、最後にはきまって、
「それが、『ICT世界の掟(おきて)』なのです」と、つけくわえる。
つまりこういうことだ。
「『ICT世界の掟』を守って、『お化け』とつきあうことが大事!」
「『私』がいるから『お化け』がいることを忘れないことが大事!」
だから、工学院大学附属中学校にでる「お化け」たちとうまくつきあうため、私たち工学院大学附属中学校、生徒一同は、決意として次の宣言を表明しなければならない。
そして、ICT世界に「お化け」に手伝ってもらいながら、「船」を繰(く)り出す。その冒険の旅が、今、始まる。
序章 (Introductory chapter)
私たちは、iPadを初めて手にしたWAKUWAKU感を忘れません。
また、ICTの恩恵(おんけい)を受け、日々、学習していることを認めています。
ICTのいいところは、一言で言えば「便利」なところです。わからないことをすぐに調べられたり、どこでも使えたり、人とつながることができたり…など、本当に便利なところばかりです。
一方で、ICTの持つ、危険性についても、身をもって学んでいます。
依存性があったり、頼りすぎて自律神経が失われたり、人を傷つけてしまったり…。
人に長所と短所があるのと同じようにICTも長所と短所があります。
授業中であっても、ネット上にある無限とも思える情報のため、余計なことまで調べられ、生徒の集中力を奪うことがあり得ます。
ネットワーク機能に優れ、他者とSNS上でつながる環境の中で、人に嫌がらせをしたり、他者を傷つけることも簡単にできてしまいます。
その短所の中にある過ちをしない、同じ過ちを二度と繰り返さないようにICTの短所、長所をしっかりと理解し、自分たちで決めたルールを守ることが大切です。
宣言樹立に至ったいきさつは、これまでの経験を「knowledge=知」に高める必要があると気付いたからです。
ICTは、私たちの生活を豊かにする道具であり、手段の一つです。
私たち一人一人の人間の意志によって、ICTという道具は、正しくも、誤ったものとしても用いられます。したがって、私たちが向き合う問題は、ICTを利用することではなく、どのようにICTを活用していくか、ということなのです。私たちは、ICTの可能性を信じ、その有効性を広げ、活用する挑戦を継続していきます。
最後に、この宣言は工学院の生徒、そして、将来の生徒たちよって常に磨かれ、時代の変化に対応しながら変化することを恐れません。むしろ、その営(いとな)みによって、工学院大学附属中学校の教育実践が、普遍的な真理に近づくことになることを確信しています。
2016年2月27日
工学院大学附属中学校 ハイブリッド1期生一同
『工学院中学校ICT宣言プロトタイプⅡ』作成Project Team member
Representative of
Kazuya Takahashi team A組 市原 尭、B組 渡邊 黎
Ken Kubota team B組 竹谷 実咲、C組 浅見 幸佑、林 良樹
Hirotomi Miura team A組 秋田 晴海、B組 高野 桜蘭、原島 聖
Chihiro Hirabayashi team A組 志村 美里、野村 薫乃
School Council A組 松枝 美羽、B組 仲野 想太郎、C組 郷野 翔太朗